顎関節症とは?
顎関節症とは
- 顎関節や咀嚼筋の疼痛関節(雑)音
- 開口障害あるいは顎運動異常
を主症状とする傷害の包括診断名です。
その病態は、
- 咀嚼筋痛障害
- 顎関節痛障害
- 顎関節円盤障害および変形性顎関節症
となります。
※2013年日本顎関節学会顎関節症の主な症状とは?
- 顎を開け閉めする際の痛み
- 顎を開け閉めする際の関節の「コリッ」という雑音
- 口が十分開けることができない
- 動きにくいという顎運動障害
これらの症状の一つでも当てはまれば顎関節症を疑うべきです。
顎関節症の原因は?
今日、専門家の中にも様々な意見があり、精神的理由など原因不明との意見もあります。しかしながら、多くの場合不正咬合(咬合異常)が原因であることが多いと思われます。
即ち、上下顎の歯の接触関係にズレが生じると、顎関節の関節頭、関節円盤、関節結節という解剖学的位置関係と、それに付随する筋肉に影響し、構造変化をもたらし、次第に症状が悪化してしまうことが問題となります。
顎関節症患者の一般的な治療法は?
一般的な歯科医の用いる治療法は、一見して大きな咬み合わせの異常があればそれを正し、スプリント(マウスピース)療法を選択する場合が多いです。しかしながら、必ずしも適切なスプリント療法を、より正確に適応していない場合もあり、かえって症状を悪化せてしまうこともしばしば認められます。
なぜ?スプリント療法では顎関節症は治らないのか?
治る場合と治らないことが存在します。
即ち、顎関節症にも程度により分類され、またスプリントにも、専門的には様々なタイプの種類があり、いかに診断し、専門的な治療方針を立てることが重要です。
いかに咬み合わせを適正化するかが重要なカギになります。顎関節症治療は咬合再構成がキーファクターになります。
顎関節症治療の流れ
顎関節症の場合、先ずは3大徴候の関節雑音(クリック音)、開口-運動障害、関節痛(顎運動時の痛み)、咀嚼筋の圧痛の検査、診断などを行います。また、咬合状態との関連を確認するため、不正咬合の状態を歯型取りし、咬み合わせ異常のチェックを行います。
レントゲン的に顎関節の位置的・形態的な変化がないか診断します。これらが、一般的に行うスクリーニング検査に相当しますが、何らかの異常を発見した場合、更に専門的な特殊検査に移行することがあります。それは、CT撮影により顎関節の詳細な3次元的位置、形態などの診断、場合によっては外部委託で顎関節のMRI検査を行い、関節円盤異常などを調べます。
咬合異常に関しては、CT及び、セファロレントゲン画像を用いて、矯正学的セファロ分析を行い、骨格異常、審美分析、歯の位置異常、そして咬合の3要素である、下顎位、咬合高径、咬合平面の分析を行い、いかに適正に変更可能かを診断します。
補綴学的には、特殊な顎運動計測装置を用い、顎運動計測・分析、正確に咬合器にマウントした上下顎模型による咬合分析を行い、いかに咬合関係を適正化するかの治療計画を立案する。
以上、複雑で専門的な検査、分析を組み合わせ、最終的治療目標を精密に計画し、治療開始となります。
顎関節症検査の詳細について
顎関節症は、1型から4型まで重症度によって分類され、歯のかみ合わせとは直接関係しないとする説もありますが、咬合異常(かみ合わせ不良)が原因となり、顎関節に(1)痛み(2)関節雑音(開閉時にクリック音が鳴る)(3)開口障害(口が十分開けにくい)などの主な3症状およびその他の症状を伴う疾患であり、若い女性に多く認められます。
顎関節症検査の種類
- 問診
- 咀嚼筋の触診
- 顎関節のレントゲン画像診断
- MRI検査による顎関節の構造変化の診断
- 矯正学的セファロ(骨格と歯の位置異常の関係)分析
- 上下歯列模型による咬合分析
- その他
軽症の内は、咀嚼筋の圧痛を伴うが、顎関節構造に異常を認められません。症状が進行すると、関節円盤が、開閉運動時に外れます。さらに進むと上下の歯を咬み合わせている際にも、関節円盤が前方へ外れてしまうことがあります。一般的に、この状態を放置すると、関節頭の骨の形態が変形、吸収し重症の変形性顎関節症になってしまいます。
検査は、まず顎関節症の有無、どの程度進行しているかを分析することです。
検査内容は、パノラマレントゲンによる関節構造の形態を画像診断します。さらには、歯科用CTを撮影し、顎関節の関節頭、関節結節、関節窩の形態、関節空隙の量を画像診断します。
関節円板はレントゲン検査では分かりませんので、専用のMRI検査(専門の検査センター依頼)が必要となります。
咀嚼筋の圧痛の有無は、筋触診により、どの筋肉のどの部位、程度があるかを検査します。顎運動異常の診断は、最大開口量の計測や、開閉時のあごの動きが左右対称で正常かを診断しますが、より正確に可視化・定量化した診断を行うためには、顎運動計測装置(アルカスディグマ(R)やキャディアックス(R))などの特殊な検査を行い、顎運動異常を計測・記録し内容を分析します。
咬合(かみ合わせ)との関係を分析、診断します。矯正学的セファロ分析を行うことで、骨格異常、歯の位置異常、咬み合わせの高さ(咬合高径)歯列の前後的連続性(咬合平面)の異常の有無と量を分析します。
上下の歯列、咬み合わせの異常は、研究用模型と呼ばれる上下の歯列の歯型をとり、特殊な咬合器という器械に、顎顔面との関係を適正に位置付けて装着し、3次元的に咬み合わせの異常(不正咬合)を分析します。
精密検査の必要性について
顎関節症の有無と程度を診断するためには、上記の検査を複数組み合わせることで確定診断できるため、正確な診断と治療法を決定するためには、精密検査が必要となります。
精密検査の内容(費用) | |
---|---|
CBCT画像診断 (歯科用CT撮影、診断) |
30,000円 |
MRI検査 (外部委託) |
保険適応あり |
矯正学的セファロ分析 (歯科用CT撮影、診断) |
30,000円 |
模型分析 (単純、研究用模型のみ) |
10,000円 |
咬合器装着 (フェイスボーマウント)咬合診断 |
30,000円 |
診断用ワックスアップ当まで (咬合総合診断) |
50,000円 |
キャディアックス (顎運動計測・記録) (咬合器装着・咬合診断をセットで行う必要あり) |
80,000円 |
アルカスディグマ (歯科用CT撮影、診断) |
50,000円 |
スプリント療法 (リラぎゼーション型、上顎用スプリント) |
50,000円 |
咬合調整 (スプリント調整) (約15~30分程度) |
10,000円 |
オーバーレイ (咬合面レジンビルドアップ装置) |
1歯 30,000円 |
プロビジョナルクラウン (精密、技工所依頼) |
1歯 30,000円 |