こんにちは!さぶり歯科です。
今日はMTAセメントを用いた治療についてお話します。
「虫歯が大きいので神経を取るといわれた」
「歯の根っこに穴があいていて治療が難しいといわれた」
といったご相談でセカンドオピニオンに多くの患者様がいらっしゃいます。
↑赤〇部分が穴が開いている(パーフォレーション)状態
↓赤〇の部分が虫歯です。このまま虫歯を取ると神経が露出します
MTAセメントを使った治療では、この様な状況でも歯や神経を保存することが可能になる場合があります。
↓様々メーカーのMTAセメント
MTA(Mineral Trioxide Aggregate)セメントとは??
MTAセメントは1993年にアメリカで開発された歯科用のセメントです。
主な成分はケイ酸二カルシウム、ケイ酸三カルシウム、アルミン酸三カルシウムなどの無機質酸化物です。
AAE(アメリカ歯内療法学会)によると、
A Cement-like material used as a root-end filling material,for perforation repair and pulp capping,and as a root-end barrier in teeth with an open apex.
(根尖に詰める、歯根内部の穿孔、歯髄覆とう(直接覆髄)、歯根未完成歯の根尖に用いられるセメントのような材料)
と説明されており、開発以降、諸外国では様々な臨床応用がされておりますが、日本では2007年に「直接覆髄」の材料として薬事承認されたのみにとどまっており、他の先進国から遅れをとっているのが現実です。
↑MTAセメントを練和した状態
MTAセメントを使うとなぜ歯や神経を保存できるのか??
理由はMTAセメントの優れた特性にあります!
【MTAの特性】
- 強い殺菌作用
MTAセメントは強アルカリ性(PH12.5)のため、強い殺菌(静菌)効果が期待できます。感染した根管内を無菌化することは従来不可能でしたが、MTAセメントを用いることで感染歯質を殺菌し、細菌を死滅させることができます。
- 高い生体親和性
MTAセメントは強アルカリ性ですが、乾燥すると中性になり、為害作用がなく体に安心安全な材料です。
- 高い親水性
MTAセメントは水分があっても固まります。神経が露出し出血していたり、パーフォレーションがあり完全な防湿が難しい場合でもしっかり硬化します。
- 高い封鎖性
MTAセメントは歯質接着性があるため、歯に対して機械的に、化学的に接着することができます。また、MTAセメントは硬化するときに膨張する性質があるため、より隙間なく封鎖することができます。
- 硬組織誘導性
MTAセメントは持続的に水酸化カルシウムを徐放するため、歯質や骨を再生させることができます。
以上の特性より、例えば、大きな虫歯により神経が露出してしまった場合、通常ならその露出した神経は取らないといけませんが(抜髄)、露出した神経部分に、MTAセメントを充填し神経をカバーすると、MTAが硬化し、硬組織が形成され露出した歯髄が被覆され保存が可能になります。
また、根管治療においてもMTAセメントは有効です。
歯に穴があいてしまった(パーフォレーション)歯や、歯の根にクラックと呼ばれるヒビが入ってしまった歯を修復するのに用いたり、
再治療をくりかえしている歯は根の先(根尖)の形態が破壊されていることがあり、通常の根管充填材(ガッタパーチャ)では根尖をきちんと封鎖することができませんが、MTAの高い封鎖性を活かせばしっかりと充填でき歯の寿命を延ばすことができます。
もちろん、MTAセメントは万能薬ではありませんので、MTAを使ったからと言って必ず神経や歯を保存する事ができるわけではありません。あまりにもコンディションが悪ければMTAセメントを用いても抜髄や抜歯になるこもあります。
現在症状があり気になる方や、他院にて保存困難と診断された方は一度ご相談下さい。どのような治療が可能かご提案させていただきます。
まずは、無料カウンセリングでお待ちしています。